近年、セミリタイアをする人が徐々に増えてきています。
セミリタイアはFIRE(ファイア)と呼ばれ、1980年代~2000年代生まれの人を中心に広まっています。
FIREは、50代や60代のリタイアとは違い、30代~40代の若い段階でリタイアを目指し、そのための方法を入念に準備しながら行うのが特徴です。
FIREは、
Financial
Independence
Retire
Early
というアメリカ発のアナグラムで「経済的自由を成し遂げ、早期退職する生き方」を意味します。
FIREはアーリーリタイアと違って、完全に働くことをやめるのではなく、パートタイムでの仕事や自分が好きなことをして働きながら生活していきます。
これを聞くと「いいなあ…」と思う方も多いのではないでしょうか?
しかし、ちょっと立ち止まって考えてみましょう。
FIREをすれば本当にハッピーになれるのか?
僕は疑問に思うところがあります。
そんなわけでこの記事では、
セミリタイア(FIRE)をして本当に幸せになれるのか?
について、僕の考えを述べたいと思います。
最初に断っておくと、僕は「仕事はするべき」「労働は美しい」「苦労はした方がいい」などの考えはないタイプなので、FIREに対する偏見などは全くありません。
それではいってみましょう。
Contents
3つのFIRE
ひとえにFIREと言っても区分があります。
FIREといっても求める退職後の生活レベルによって、以下のように3つに区分されています。
Lean FIRE:生活費を切り詰め、ミニマリスト的な暮らしを続ける
FIRE:ある程度ゆとりのある快適な生活をしていく
Fat FIRE:豊かな生活スタイルを維持する
それぞれの違いを見ていきましょう。
Lean FIRE
Lean(リーン)とは英語で「細い、痩せた」という意味を表します。
つまり、退職後はミニマリスト的に細々と生きるタイプのFIREです。
ミニマリストは若年層を中心に広まっているため、比較的若い人に多いFIREです。
とにかく働きたくない人に向いてそうですね。
FIRE
一般的なFIREで、ある程度仕事をすることで退職後も生活レベルを維持していくというスタイルです。
額は多くなくても、何らかの定期的な収入を得ながら生活していくFIREですね。
Fat FIRE
Fatは英語で「肥えた、太った」を表します。
すなわち、Fat FIREはリタイア後も豊かな生活を続けていくFIREです。
退職時によほどの資産がない限り、相当程度の労働やそれなりの額の不労所得を必要とする生き方です。
退職時にまとまった資産を持っている人向けのFIREです(でないとそもそも無理ですね)。
リタイア後の生活で起こり得ること
さて、FIREの違いがわかったところで、今度は「リアイア後の生活で起こり得ること」について考えてみたいと思います。
「とりあえずリタイアしたけど、こんなはずじゃなかった…」と感じる要因にどれもなり得ることですので、十分に注意するべき事項だと思います。
ヒマを持てあます
「仕事がなければ毎日どれだけハッピーか…」と思う方はたくさんいらっしゃると思います。
たしかに年中仕事が多忙だったり、強いプレッシャーがかかるような仕事をされている方は、そう思うのは無理はないでしょう。
仕事がなければ、仕事によるストレスは溜まらなくなります。
しかし、学生時代や長期休暇で「休みだけどやることがないな…」と時間を持て余したことがある人は少なくないのではないでしょうか?
ただ仕事がなくなるだけだと、この暇を持て余すような生活が毎日続くわけです。
学生時代のように、自分だけでなく周りに暇人がたくさんいるのであれば遊んだりできますが、社会人になると周りの人のほとんどは日中仕事をしていることでしょう。
つまり、一人でFIREしても
自分だけ時間が余ってしまい、ひとりヒマになってしまう状態
になるわけです。
これはこれでなかなか辛いのではないでしょうか。
実際に知人が転職で2ヵ月ほど無職期間があったのですが、2週間で飽きたそうです。
ただ仕事をやめればハッピーになれる、という可能性はあまり期待できないと考えた方がよいでしょう。
収入がなくなり、やりたいことができなくなる
セミリタイア後に全く仕事をしないと、時間が余るだけでなくこれまでの貯金を取り崩して生活していくことになります。
毎日自分の資産が減っていくわけですから、精神的にだんだん追いつめられるのは間違いないでしょう。
また、資産を取り崩すだけだと、当然出費にも慎重になるので
時間はあるのに遊べないという状態
になります。
せっかく自由を手に入れても、その自由を使いこなせないことになります。
やはり、FIREをしてもある程度は好きなことができる程度の収入を確保することが必須だと思います。
投資で失敗する
セミリタイアをした人の中には、株式投資や不動産投資により収入を得ている人も少なくありません。
株式投資の場合は、株式の売買による収入よりも、配当金で定期的な収入を得ている人が多いです。
不動産投資の場合は、毎月の家賃により収入を得ることになります。
株式投資による配当金は優秀な不労所得であり、一定の収入を労せずして定期的に手に入れることができます。
しかし、配当金を受け取るためには、配当元の企業などへの投資が必要です。
つまり、投資するための元手となる資金(元本)が必要なわけです。
しかし、株式の価値は会社の業績や世の中全体の景気の影響を受けるため、アップダウンが激しく、中には大きく株価を下げて上がらなくなってしまう銘柄もあります。(僕もそういう株を持っています…)
こうなると元本の回収が困難になり、元本を売ろうものなら配当金で得られる収入をかき消してしまうくらいの大きな損失を出してしまうことになります。
しっかりリスク分散をして投資をしないと、大事なセミリタイア資金を溶かすことになりかねません。
どれだけ株価が上がっていても株式市場が下落するのはあっという間です。
FIRE後の生活には、投資による収入のほかにも、労働、ネットからの収入などを確保しておく必要があるでしょう。
運動不足で不健康になる
僕が連休で自堕落な生活をするたびに思うことは「毎日こんなだらけた生活をしていると病気になるな…」ということです。
僕たちは普段職場で働くことで、実は以下のように意外と多くの運動をしています。
・通勤時の徒歩
・通勤時の階段の昇降
・椅子から立つ・座る
・トイレ・喫煙所に行き来する
多かれ少なかれ会社で働くことで、それなりの運動をすることになるわけです。
これらの運動がなくなると、意識的に運動する習慣をつくらないと運動不足になります。
また、運動しないとお腹も空きにくくなり、睡眠も浅くなりますから、日常生活にも乱れが生じます。
FIRE後の健康管理には十分注意払わないと思わぬ病気になることも考えられますね。
まとめ
セミリタイアは仕事のストレスからは解放されるが、余った時間の使い方や、経済的な余力、健康管理を考えないと失敗する可能性がある。
セミリアイア後の生活をしっかりとイメージしてから、FIREする必要がある。